AIに仕事を頼むとき、こんな一言を添えていませんか。

「最後にもう一度、間違いがないか確認してね」

丁寧でいい指示に見えます。実際、少し前までは正解でした。ところが2026年7月24日に公開された新しいAI「Claude Opus 5(クロード・オーパス・ファイブ)」では、この一言がむしろ邪魔になります。頼まなくても自分で確認するようになったので、上から重ねて言うと二度手間・三度手間になり、時間と料金だけが増えてしまうのです。

これは私たちが勝手にそう感じている話ではなく、開発元であるAnthropic(アンソロピック)が公式の説明書に「その指示は削除してください」とはっきり書いています。

つまり今回の一番の変化は、性能の数字ではありません。「AIへの頼み方が、書き足す時代から、消す時代に変わった」ことです。この記事では、Claude Opus 5の使い方と料金、Fable 5との違い、消したほうがいい指示、逆に書き足したい一文までを、専門用語をできるだけ使わずにご紹介します。

これまで(もう不要)
「この資料を作って。
作ったら最後に必ず検証して
それからダブルチェックもしてね」
これから
「この資料を作って。
A4で2枚に収めて
頼んだ範囲だけやってね」

Claude Opus 5とは? 料金はFable 5の半額

使い方の話に入る前に、料金とモデルの違いを押さえておきます。Claudeには現在3つの主なモデルがあり、値段と得意分野が違います。車でいうグレードのようなものです。

モデル名位置づけ向いている仕事
Fable 5
フェイブル
最上位・いちばん高い とにかく難しい問題。ひらめきや創造性が要る仕事
Opus 5
オーパス(今回)
最上位の半額 日々の実務全般。資料作成・分析・システム開発。安定感がある
Sonnet 5
ソネット
さらに安い・速い 速さ重視の日常業務

ポイントは2つだけ覚えてください。ひとつ、最上位モデルの半額であること。ふたつ、前の世代と料金は据え置きのまま性能が上がったことです。値上げなしで乗り換えられます。

費用感がイメージしにくいと思うので、目安を出します。文庫本1冊ぶん(約10万字)の文章を書かせても、かかるのは数百円程度です。人が同じ分量を書く時間を思えば、多くの会社で十分に見合う水準といえます。

この記事に出てくる言葉(3つだけ)
プロンプト
AIに出す指示文のこと。「〜して」とお願いする文章そのものです。
トークン
AIが文章の量を数える単位。料金の計算に使われます。日本語ならおおよそ1文字=1つ、が目安です。
考えさせる強さ(推論・effort)
AIがどれくらいじっくり考えてから答えるかの設定。強くすると賢くなり、弱くすると速く安くなります。

使い方の新常識 ― 消したほうがいい4つの指示

ここからが本題、Claude Opus 5の使い方です。これまで良かれと思って書き足してきた指示のうち、むしろ外したほうが良いものが出てきました。公式の説明書に基づいて、代表的な4つを挙げます。

  1. 「最後に必ず検証して」
    例:「終わったら検証ステップを入れてください」
    Opus 5は言われなくても自分の仕事を見直します。そこへ重ねて頼むと、何度も確認しなおして時間と料金が余計にかかります。公式には「この指示を削除すると、品質を落とさずに無駄が減る」と書かれています。
  2. 「ダブルチェックして」
    例:「答えをもう一度見直してから返してください」
    理由は同じです。自分のミスを自分で拾う力が上がったので、言うほど賢くなるのではなく、言うほど高くなる状態になりました。「AIには念のため確認させる」という定番のコツが、今回は当てはまりません。
  3. 昔のAIの弱点を補うために足した手順
    例:細かく段取りを刻んだ指示、画像を読ませるときの細かい注意書きなど
    以前のAIができなかったことを補うために書いた工夫は、もう不要になっている可能性があります。公式も「見直してください」としています。思い当たるものは一度そのまま外して試すのが確実です。
  4. 「余計なことを考えるな」
    例:「思考せずに答えて」「考えた過程は出さないで」
    これは特に注意です。禁止すると、かえってAIの内部メモが表に出てきやすくなることが公式に明記されています。止めようとするほど逆効果になる、珍しいパターンです。

もし社内でAIに複数の担当役を持たせている場合は、「もっと手分けさせて」という指示も外してください。Opus 5は前より積極的に仕事を振るようになったため、放っておくと小さな作業まで人手を増やして、費用と時間が膨らみます。

「考えさせる強さ」(effort)の選び方

Claude Opus 5には、どれくらいじっくり考えてから答えるかを5段階で選ぶ設定があります。ここが料金と待ち時間に直結します。

考えさせる強さ ― 5段階
ひかえめ
low
いちばん安くて速い。簡単な調べもの、仕分け作業など
軽め
medium
速さ・費用・品質のちょうど中間。日常業務の多くはここで足ります
標準
high
何も指定しないとこれになります。込み入った検討、難しい相談ごと
しっかり
xhigh
30分を超えるような長い作業をまかせきりにするとき
全力
max
費用より精度をとるとき。いちばん深く考えます

公式のおすすめはシンプルです。「標準のまま始めて、実際に使いながら上下させる」

そのうえで、Opus 5については「"ひかえめ"と"軽め"でも、上の設定のわずかな費用と時間で十分な品質が出る。品質が保てる範囲で積極的に使ってよい」と明記されています。費用を抑える主役はここです。前のAIの設定をそのまま引き継いでいる方は、一度下げて試す価値があります。

ネットで見かける誤解
「強くすると、かえって精度が落ちる」は正しくありません

「考えさせる強さを上げると内部でぶつかって精度が下がる」という説がネット上に出回っています。当社が公式の説明書を確認したところ、書かれていたのはでした。「Opus 5は、これまでのどのモデルよりも確実に、強くしたぶんを良い結果に変える」とされています。

ただし、「強さを変えても文章の長さは変わらない」のは事実です。公式も「この設定は"考える量"を決めるもので、答えの長さは決めない。長さは言葉で指示してください」と説明しています。

覚え方は簡単です。精度がほしいなら上げる。安く速くしたいなら下げる。長さは設定ではなく言葉で頼む。

逆に、書き足したい3つの一文

消すだけでは足りない部分もあります。Opus 5には放っておくと出るクセが3つあり、これも公式が認めているものです。それぞれ一文で収まります。そのままコピーしてお使いください。

クセ1 ― 答えが長くなりがち
長さは、言葉で指定する
回答は要点に絞って簡潔にしてください。前置きや注意書きは短くし、大半を本題に使ってください。説明を求められたときは、詳しくと言われない限り要約レベルで答えてください。
設定をいじっても短くなりません。長さは必ず言葉で伝えるのが公式のすすめです。
クセ2 ― 頼んでいないことまでやる
やる範囲を、先に線引きする
頼まれたことを、頼まれた範囲で実行してください。細かい判断はご自身で決めて構いませんが、解釈によって成果物が大きく変わる場合だけ確認してください。依頼が誤っていると思ったら一言だけ指摘し、そのうえで依頼どおり進めてください。勝手に範囲を広げたり狭めたりしないでください。
Opus 5は「良かれと思って」作業を足すことがあります。先に線を引いておけば、この揺れはほぼ消えます。
クセ3 ― 「さっきのは間違いでした」が多い
言い直しの説明を減らす
前の発言を訂正するのは、その誤りが相手の判断や結論を変える場合だけにしてください。訂正は簡潔に述べてすぐ作業に戻り、影響のない言い間違いは黙って直して先に進んでください。
お客様に見せる画面でAIを動かす場合、言い直しが多いと「迷走している」ように見えてしまいます。

Word・Excel・PowerPointまで一気に作れるようになった

中小企業の現場でいちばん効くのは、実はここかもしれません。Opus 5は複数シートにまたがる複雑なExcelや、構成の整ったPowerPoint資料まで作れるようになりました。公式も強化点として挙げています。

ひとつの会話の中で、こんな流れがそのまま通ります。

文章を書かせる 図解を作らせる Wordに整える Excelに集計 PowerPointに展開

コツは一発で完璧を狙わないことです。最初の出力は思ったとおりにならないことが多いのですが、「見出しの下に図を入れて」「この表をExcelにして」と追加で頼めば素直に直してくれます。会話で詰めていくのが結局いちばん速い、というのが当社の実感です。

資料づくりで、もう一文だけ添えるなら

「作る文書の長さは、必要な内容に見合ったものにしてください。中身は網羅しつつ、埋め草の章・重複した要約・定型文で水増ししないでください。」

Opus 5が書き出すファイルは長くなりがちだと公式も認めています。この一文があるだけで、そのまま社内に配れる分量に収まりやすくなります

それでも、最後に見るのは人です

ここは誤解されやすいので、はっきり分けて書きます。

先ほど「AIに検証を頼む指示は消してください」と書きましたが、これはAIに自己チェックを命じる一文を消すという話です。人が最後に目を通す工程まで省いていいという意味ではまったくありません。

実際、AIが書いた文章や資料には、読み返すと直したくなる箇所が残ります。数字の裏取りが必要な場面もあります。willBが日々の仕事で守っているのは、「AIが作り、人が確かめ、人が決める」という順番です。AIの性能が上がるほど、出力がもっともらしく見えるぶん、人が見る価値はむしろ上がっています。

この記事自体も、動画で語られていた内容を鵜呑みにせず、開発元の公式ドキュメントに当たったうえで1点だけ訂正を入れています。情報源をひとつに頼らない。これがAI活用でいちばん再現性の高いコツかもしれません。

「消す」運用は、社内にエンジニアがいない会社ほど効きます

今回の考え方に、プログラミングの知識は要りません。必要なのは「自社の業務を言葉にする力」だけです。何を頼み、何を頼まないかを決められれば、設定をいじらなくても結果は変わります。willBのAI特化型実践研修では、御社の実際の業務を題材に、この「AIへの頼み方」ごと身につけていただけます(人材開発支援助成金の活用で実質負担を抑えられます)。

まとめ

モデルの使い分けについてはClaude Fable 5のプロンプト術や、AIを1本に絞らない併用運用の記事AIコーディングツール三強比較もあわせてどうぞ。

参考にした情報源
・Anthropic公式ドキュメント「What's new in Claude Opus 5」「Effort」「Prompting Claude Opus 5」(料金・設定・消すべき指示・答えが長くなる件は、すべてこちらで確認しています)
・YouTube「Claude Opus5は推論・スキル不要?使い方を解説!」/チャンネル:AI共創イノベーション(ワンダー佐藤さん・2026年7月25日公開)― 実務での検証手順と「引き算」という着眼点を参考にさせていただきました

よくあるご質問

「考えさせる強さ」は、どこで変えるのですか?
開発者向けの画面や設定項目から選べます。ただ、そうした設定が見当たらない場合でも心配は要りません。「じっくり検討してください」「手短にお願いします」と文章で伝えれば、実務上は十分に効きます。まずは言葉で試してみてください。
これまで作り込んだ指示文は、全部捨てるべきですか?
いいえ、捨てないでください。外す対象は「昔のAIの弱点を補うために足した指示」だけです。自社の業務ルール・専門用語・してはいけないことなど、会社固有の情報は大切な資産なので残してください。迷ったら、疑わしい一文を外した版と外さない版で同じことを頼み、結果を見比べるのが確実です。
Fable 5とOpus 5、中小企業はどちらを使うべき?
日々の仕事ならOpus 5で十分、というのが当社の実感です。半額で実務性能が高く、費用の見通しも立てやすいためです。Fable 5は「失敗したときの損害が大きい判断」「ひらめきが要る企画」など場面を絞ると効きます。まずOpus 5を主役にして、行き詰まったときだけ上に相談する形をおすすめします。
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willBは松本市本社・全国対応で、中小企業向けにAI研修・DX導入支援を行っています。この記事で紹介した「消す指示・書き足す一文・考えさせる強さの選び方」を、御社の実際の業務を題材にしたAI特化型実践研修でそのまま身につけていただけます。人材開発支援助成金の活用で実質約8万円/名から。ご相談は無料・オンラインで全国対応。
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